外国人の創業融資|在留資格・永住権・経営管理ビザと日本政策金融公庫【2026年完全ガイド】
記事
公開: 2026年4月8日
更新: 2026年9月17日
読了目安: 3分
外国人の創業融資とは|在留資格・経営・管理ビザ・日本政策金融公庫の関係
この記事の結論
外国人の創業融資を、出入国在留管理庁が公表する経営・管理ビザの許可基準(2025年10月16日改正)と日本政策金融公庫の公式情報にもとづき解説。在留資格別の違い、必要書類、実在する相談窓口をまとめました。
外国人が日本で創業融資を検討するとき、最初に整理すべきことは「自分の在留資格が事業の経営という活動を認めているか」です。日本政策金融公庫(以下、公庫)の創業融資そのものに国籍要件はありませんが、融資を受けて事業を営むには、その活動に対応した在留資格を持っていることが前提になります。
在留資格には、永住者・日本人の配偶者等・定住者のように活動の制限がない資格と、経営・管理のように「事業の経営又は管理」という活動そのものを在留の目的とする資格があります。後者の経営・管理ビザは、2025年10月16日の改正で許可基準が大きく変わりました(詳しくは後述します)。
この記事でわかること
- 在留資格の種類によって、事業経営にどのような制限があるか(出入国在留管理庁の公式区分にもとづく整理)
- 経営・管理ビザの許可基準が2025年10月16日の改正でどう変わったか(事業所・資本金等・日本語能力・経歴)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の公式な条件と、外国人起業家に関して公式に明記されている範囲
- 相談できる実在の公的窓口(外国人在留支援センター・日本商工会議所)
本記事では、公式サイトで確認できない金額・期間の断定や、実在性を確認できない事例は掲載していません。制度は改正されることがあるため、本文中の要件はすべて2026年9月17日時点で公式サイトを確認したものです。最新の要件は必ず出入国在留管理庁・日本政策金融公庫の公式サイトでご確認ください。
在留資格の分類と創業融資への影響|まず自分の在留資格を確認する
出入国在留管理庁は、在留資格を大きく「日本で行う活動内容に応じた在留資格」と「身分や地位に応じた在留資格」の2つに分けて公表しています。創業融資を考えるうえでも、まずこの分類のどちらに該当するかを確認することが出発点になります。
| 分類 | 該当する在留資格の例 | 事業の経営に関する考え方 |
| 身分や地位に応じた在留資格 | 永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者 | 活動内容に制限がなく、日本人と同様の条件で事業を営むことができます |
| 日本で行う活動内容に応じた在留資格(経営・管理) | 経営・管理 | 「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」を行うための在留資格です。次章の許可基準を満たす必要があります |
| 日本で行う活動内容に応じた在留資格(その他の就労・留学等) | 技術・人文知識・国際業務/留学 等 | 在留資格ごとに定められた活動以外は原則として認められません。独立して事業を経営するには、通常「経営・管理」への在留資格変更許可申請が必要になります |
出典:出入国在留管理庁「在留資格から探す」(2026年9月17日確認)
身分や地位に応じた在留資格の場合
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者は、就労を含む活動に制限がありません。事業の経営という点では、日本人が創業する場合と同じ立場で公庫の創業融資を申請できます。
就労ビザ・留学ビザのまま起業できるか
「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザは、決められた業務に従事することを前提に許可された在留資格です。本業以外に独立した事業を営もうとする場合は、資格外活動許可の対象になるか、あるいは在留資格そのものを「経営・管理」に変更する必要があるかを個別に判断する必要があります。「留学」も同様に、原則としてアルバイト等の資格外活動の範囲を超えて事業を経営することは想定されていません。ご自身のケースがどちらに当たるかは、出入国在留管理庁または行政書士等の専門家に個別に確認することを強くおすすめします。
在留資格の変更や取得の手続き自体について詳しく知りたい場合は、公庫の融資に関する記事として「日本政策金融公庫 完全ガイド」もあわせてご覧ください。
経営・管理ビザの許可基準|2025年10月16日の改正で何が変わったか
在留資格「経営・管理」に係る上陸許可基準を定める省令は、2025年(令和7年)10月16日に改正・施行されました。改正前は「資本金の額等が500万円以上、又は常勤職員2名以上の雇用」のいずれかを満たせばよいという基準でしたが、改正後は次の基準をすべて満たす必要があります。
| 基準 | 内容(2025年10月16日改正後) |
| 事業所 | 事業を営むための事業所が本邦に存在すること(開始前は施設の確保)。自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません |
| 常勤職員 | 経営・管理に従事する者以外に、本邦に居住する常勤の職員を1人以上雇用していること(対象は日本人・特別永住者・永住者等の身分に基づく在留資格を持つ人に限られ、就労系の在留資格の人は対象外) |
| 事業用財産の総額 | 3,000万円以上(法人の場合は資本金の額又は出資の総額。個人事業主の場合は事業所の確保や職員1年分の給与、設備投資費など事業を営むために投下されている総額) |
| 日本語能力 | 申請者又は常勤職員のいずれかが、日本語能力試験(JLPT)N2以上に相当する日本語能力(「日本語教育の参照枠」B2相当以上)を有していること |
| 経歴 | 経営管理又は事業に関連する分野の修士・博士・専門職学位を有すること、又は事業の経営・管理について3年以上の実務経験を有すること |
| 事業計画書 | 中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかによる確認を受けたものであること |
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」/該当する活動及び上陸許可基準(PDF)/「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(いずれも2026年9月17日確認)
改正前から経営・管理ビザを持っている人への経過措置
「3,000万円を準備できないと帰国」は誤りです
出入国在留管理庁は、この点について明確に否定しています。施行日(2025年10月16日)から3年が経過するまで(令和10年10月16日まで)は、新基準を満たさないことのみを理由に在留期間更新許可申請が不許可になることはありません。3年経過後も、経営状況が良好で納税義務を適切に履行しており、次回更新までに新基準を満たす見込みがある場合は、在留状況を総合的に考慮して許否が判断されるとされています。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」Q&A(令和8年6月26日更新・2026年9月17日確認)
この改正は上陸許可基準を定める省令の変更であり、今後さらに運用や解釈が更新される可能性があります。申請の直前には、必ず出入国在留管理庁の公式ページで最新の内容を確認してください。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の内容と外国人起業家への対応
外国人起業家が創業融資を検討する際に中心になるのは、公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。制度の基本条件は日本人・外国人で分かれておらず、次のとおり公式に案内されています。
| 項目 | 公式の内容 |
| 対象者 | 新たに事業を始める方、又は事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 資金使途 | 新たに事業を始めるため、又は事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 担保・保証人 | 希望を伺いながら相談。経営者保証免除特例制度を併用できる場合があります |
出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(2026年9月17日確認)。融資限度額は上限であり、実際の融資額は事業計画の内容や審査結果によって決まります。
「特定外国人起業家」の特別利率
公庫の公式ページでは、特別利率が適用される要件の一つとして「外国人起業活動促進事業における特定外国人起業家の方で新たに事業を始める方」が明記されています。この事業は自治体等が実施する制度で、対象地域や詳細は自治体によって異なるため、該当するかどうかは事業を始める予定の自治体、または最寄りの公庫の窓口にご確認ください。
出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」利率(年)欄/「金利情報」(2026年9月17日確認)
在留資格の種類による融資可否について
公庫の公式ページには、上記の「特定外国人起業家」向けの特別利率以外に、在留資格の種類ごとに融資の可否や審査の扱いを個別に明記した記載は確認できませんでした。実際の申請では、事業計画の内容や返済能力に加えて、申請者が事業の経営という活動を適法に行える在留資格を持っているかが前提になると考えられます。断定的な情報は避け、最終的な可否は最寄りの公庫支店にご相談ください。
創業融資と在留資格、それぞれに必要な書類の違い
外国人の創業では、「公庫への融資申請書類」と「出入国在留管理庁への在留資格の申請書類」は目的が異なる別々の手続きです。混同しないよう、それぞれで何が必要になるかを整理します。
公庫への融資申請でおおむね必要になるもの
創業計画書など、公庫の融資申請で一般的に必要となる書類は日本人の創業融資と共通です。事業計画書は日本語で作成することが前提になります。書き方の詳細は「事業計画書の書き方」「創業融資の必要書類」の記事もあわせてご確認ください。
経営・管理ビザの申請で必要になる書類(カテゴリー4の場合の例)
出入国在留管理庁の案内では、所属機関の規模等に応じて申請書類が「カテゴリー1〜4」に区分されており、上場企業等に該当しない個人の創業者の多くはカテゴリー4に該当します。カテゴリー4では、共通書類(申請書・写真等)に加えて、事業計画書(経営・管理に関する専門的な知識を有する者による確認済みのもの)、事務所用施設の存在を明らかにする資料(不動産登記簿謄本・賃貸借契約書等)、事業規模を明らかにする資料(常勤職員の賃金支払に関する文書、貸借対照表、登記事項証明書等)、日本語能力を明らかにする資料、経歴を明らかにする資料(学位証明書又は在職証明書等)の提出が求められます。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」提出書類一覧(2026年9月17日確認)。実際に必要な書類は個々の事情やカテゴリーにより異なるため、申請前に必ず公式ページのチェックシートで確認してください。
日本での金融実績が少ない場合の考え方
来日から日が浅い場合、日本国内でのクレジットカードの利用実績や銀行取引実績が少ないことがあります。公庫の公式ページには、在日期間の長さそのものを融資条件とする記載はありませんが、一般的に事業計画の実現可能性を審査する際の判断材料は多いほど有利に働くと考えられます。
審査の材料として補強できる可能性がある点(一般論)
- 事業計画書に、市場調査や取引先の見込みなど具体的な根拠を厚く記載すること
- 自己資金の出所(本国での給与・事業収入等)を裏付ける書類を準備すること
- 日本での住居・事業所の契約状況など、生活基盤に関する資料を整えること
上記は一般的な考え方であり、公庫が公式に定める審査基準ではありません。必要な在日年数や具体的な書類要件について公式な明記は確認できなかったため、断定的な年数は記載していません。個別の状況については最寄りの公庫支店にご相談ください。
自己資金が少ない場合の考え方全般は「自己資金が少ない場合の創業融資」、信用情報に不安がある場合は「信用情報と創業融資」の記事もご覧ください。
外国人の創業でよくあるつまずきパターン
- 在留資格を確認せずに事業を始めてしまう。就労ビザや留学ビザのまま独立した事業の経営を始めると、資格外活動に当たる可能性があります。事業を始める前に、在留資格が経営という活動を認めているかを確認することが必要です。
- 自己資金の出所を書類で説明できない。本国からの送金を自己資金に充てる場合、送金の理由や原資(給与・事業収入等)を裏付ける資料がないと、審査で説明を求められることがあります。
- 事業計画書が日本語として不十分。公庫への提出書類は日本語での作成が前提です。機械翻訳のみに頼らず、内容が正確に伝わるよう準備することが重要です。
- 経営・管理ビザの更新のタイミングを考慮していない。経営・管理ビザは5年、3年、1年、6月、4月又は3月のいずれかの期間が許可されます。更新時期と事業・返済の計画を照らし合わせておくことが必要です。
- 自宅を事業所として申請してしまう。2025年10月16日の改正後は、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められません。事業所として使用できる施設を別途確保する必要があります。
出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」/同「上陸基準省令等の改正について」(2026年9月17日確認)
無料で相談できる公的な窓口
在留資格や創業融資について、代行業者に依頼する前にまず確認しておきたい、実在する公的な相談窓口を紹介します。
| 窓口 | 相談できること | 連絡先 |
| 外国人在留支援センター(FRESC/フレスク) | 在留資格に関する相談を含む、外国人生活相談のワンストップ窓口(出入国在留管理庁が設置) | ナビダイヤル 0570-011000(受付は平日9時〜17時、土日祝・年末年始を除く)。東京都新宿区四谷1-6-1 四谷タワー13階 |
| 外国人在留総合インフォメーションセンター | 在留資格の申請書の書き方や必要書類についての問い合わせ | TEL 0570-013904(IP電話・海外からは03-5796-7112) |
| 日本商工会議所(各地の商工会議所) | 創業支援・資金調達・事業計画書の策定支援を含む経営相談(全国516か所、事業活動を行っている地域の商工会議所で原則無料) | 商工会議所検索ページで最寄りの窓口を検索 |
出典:出入国在留管理庁「外国人在留支援センター(FRESC)」/同「在留資格から探す」/日本商工会議所「経営相談」/同「商工会議所検索」(いずれも2026年9月17日確認)
融資そのものの相談は、最寄りの日本政策金融公庫の支店でも受け付けています。支店の所在地は公庫の支店案内ページで確認できます。在留資格の手続きを専門家に依頼したい場合は、行政書士など個別の専門家に相談する方法もあります。当サイトでの専門家探しは以下からどうぞ。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月17日。制度・基準は今後変更される場合があります。必ず出入国在留管理庁・日本政策金融公庫など各公式サイトで最新情報を確認してください。本記事は特定の融資・在留資格の許可を保証するものではありません。