創業融資と補助金の併用ガイド|日本政策金融公庫と代表的な補助金3制度
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公開: 2026年9月22日
更新: 2026年9月22日
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創業融資と補助金は同時に活用できるのか|結論と本記事の方針
この記事の結論
創業融資と補助金は同時に活用できます。日本政策金融公庫の融資(限度額7,200万円)と、小規模事業者持続化補助金<創業型>・ものづくり補助金・省力化投資補助金の補助率・上限を公式情報で整理し、交付決定前の着手禁止など併用時のルールを解説します。
結論から言うと、創業融資と補助金は同時に活用できます。ただし両者は所管・審査主体・お金の流れがまったく違う別制度であり、「組み合わせれば自動的に有利になる」わけではありません。仕組みを理解したうえで、正しい順序とルールで使う必要があります。
本記事のポイント
- 補助金は原則「後払い」です。採択・交付決定を経て、事業者が経費を立て替え払いしたあとに実績報告を行い、確認が済んでから補助金が振り込まれます。
- ほとんどの補助金は「交付決定日より前に発注・契約・購入した経費は補助対象外」というルールを公募要領に明記しています(本記事の各制度の章で原文を引用します)。
- 同一の経費に複数の補助金を重ねて受け取ること(二重受給)は、どの補助金でも禁止されています。
- 融資は日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金が代表的な制度で、補助金の交付までの「つなぎ資金」としての役割を果たせます。
本記事は、①日本政策金融公庫の融資条件、②創業前後に組み合わせやすい代表的な補助金3制度(小規模事業者持続化補助金<創業型>・ものづくり補助金・中小企業省力化投資補助金)、③併用時に必ず守るべきルール、の3点を公式情報だけで整理します。特定の企業を想定した「成功事例」や、代行費用の相場は掲載していません(代行費用については公的統計が無いため創業融資代行の成功報酬型の記事で扱っています)。
日本政策金融公庫の創業融資の条件(新規開業・スタートアップ支援資金)
創業融資の代表的な選択肢は、日本政策金融公庫 国民生活事業の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。補助金の交付までのタイムラグを埋める「つなぎ資金」として使われることが多い制度です。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方(適正な事業計画を策定し遂行する能力があると認められる方に限る) |
| 資金の使いみち | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円(設備資金・運転資金の合計) |
| 返済期間 | 設備資金20年以内(うち据置期間5年以内)/運転資金10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 担保・保証人 | 「創業融資のご案内」ページでは、税務申告を2期終えていない方等は原則無担保・無保証人と案内。制度ページ自体は「ご希望を伺いながらご相談」としており、最終的な扱いは個別の相談・審査による |
| 利率(令和8年9月1日現在・無担保/税務申告2期未終了の区分) | 基準利率 年3.75〜5.35%。要件を満たす場合は特別利率A・B・Cが適用され、さらに低くなる |
出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」、同「金利情報」(いずれも2026年9月17日確認)
利率は変動します
上記は確認日時点の掲載値です。公式サイトにも「利率は、金融情勢によって変動しますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは、異なる場合があります」と注記されています。申込み時点の正式な利率は公式サイトまたは支店窓口で必ず確認してください。
対象者の属性別の利率区分(女性・若者/シニア、再挑戦、中小会計適用など)、創業支援貸付利率特例制度による追加の利率引き下げ、申込みの流れ・必要書類・創業計画書の書き方は、日本政策金融公庫の創業融資の記事で詳しく解説しています。
創業融資と組み合わせやすい代表的な補助金3制度(2026年9月時点)
創業前後に活用できる国の補助金は数多くありますが、本記事では公募要領で補助率・上限額を確認できた代表的な3制度を取り上げます。補助金は毎年・締切ごとに公募要領が変わるため、最新情報は必ず各公式サイトで確認してください。
| 制度名 | 主な対象 | 補助上限額 | 補助率 | 2026年9月17日時点の受付状況 |
| 小規模事業者持続化補助金<創業型> | 認定市区町村等の特定創業支援等事業による支援を受け、開業から一定期間内の小規模事業者 | 200万円(インボイス特例対象事業者は250万円) | 2/3 | 第4回受付締切2026年12月15日(申請受付は準備中) |
| ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金) | 中小企業者等(公式サイトに創業年数の制限は確認できず) | 750万円〜2,500万円(従業員規模別・製品・サービス高付加価値化枠)/グローバル枠は3,000万円 | 中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者等2/3 | 23次締切分は申請締切済(2026年5月8日17時)。次回締切は公式サイトで確認 |
| 中小企業省力化投資補助金 | 人手不足の状態にある中小企業等 | カタログ注文型:200万円〜1,000万円(賃上げ特例で最大1,500万円)/一般型:750万円〜8,000万円(賃上げ特例で最大1億円、いずれも従業員規模別) | カタログ注文型1/2以下/一般型は中小企業1/2(特例2/3)、小規模企業・小規模事業者等2/3 | カタログ注文型は随時受付中(第8回公募2026年8月18日〜10月16日)/一般型第8回は申請ポータル受付2026年9月18日10:00開始 |
出典:小規模事業者持続化補助金<創業型>公式サイト、ものづくり補助金「公募要領について」、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)・同(一般型)(いずれも2026年9月17日確認)
3制度は重複して申請できません
小規模事業者持続化補助金<創業型>の公募要領は「小規模事業者持続化補助金<一般型>との重複申請はできません」と明記しています。また同じ経費に複数の国の補助金を重ねて受け取ること(二重受給)は、いずれの制度でも禁止されています。詳しくは後述の「併用時に必ず守るべきルール」の章で原文を引用します。
小規模事業者持続化補助金<創業型>の対象要件と補助対象経費
3制度のうち、創業者を明確に対象とした制度が「小規模事業者持続化補助金<創業型>」です。国が実施する補助金の一般的な傾向として、実績データの少ない創業直後の事業者は不利になりやすいのに対し、<創業型>は開業から一定期間内であることを前提に設計されています。
対象要件(2つの条件を両方満たす必要があります)
公募要領は、対象者を「産業競争力強化法に基づく『認定市区町村』または『認定市区町村』と連携した『認定連携創業支援等事業者』が実施した『特定創業支援等事業』による支援を受けた日および開業日(設立年月日)」が、受付締切日から起算して過去1年の期間内にある小規模事業者等(開業後おおむね1年以内の特定非営利活動法人を含む)と定めています。第4回受付締切(2026年12月15日)の場合、この期間は2025年12月15日〜2026年12月15日です。
「特定創業支援等事業」とは
市区町村や商工会議所・商工会などが実施する創業スクール・創業セミナー等のうち、産業競争力強化法にもとづき国の認定を受けた事業です。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」で特別利率が適用される要件の一つ(認定特定創業支援等事業の証明書)とも重なるため、自治体の創業支援窓口に早めに相談しておくと、融資と補助金の両方で有利に働く場合があります。
補助対象経費
補助対象となる経費は、公募要領で次の8区分に限定されています。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費(オンラインの展示会・商談会等を含む)
- 旅費
- 新商品開発費
- 借料
- 委託・外注費
補助上限額は200万円(インボイス特例対象事業者は50万円上乗せの250万円)、補助率は2/3です。
出典:小規模事業者持続化補助金<創業型>公募要領(第3回受付締切分・第7版)、公式サイト(2026年9月17日確認。第4回受付締切分の公募要領は第8版が2026年5月27日に公開されています)
お問い合わせ先は小規模事業者持続化補助金<創業型>事務局(電話:03-6739-3890、受付時間9:00〜12:00・13:00〜17:00、土日祝日・年末年始を除く)です。
ものづくり補助金・中小企業省力化投資補助金は創業直後でも使えるか
設備投資額が大きい業種(製造業・飲食店の厨房設備、店舗の省力化機器など)では、ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金の対象になることがあります。いずれも「創業から◯年以内」という年齢制限は公式サイト上に確認できませんでしたが、実務上のハードルとして知っておきたい点があります。
ものづくり補助金の枠組み
「製品・サービス高付加価値化枠」は、事業計画期間において付加価値額や従業員の賃金等を増加させる事業者を支援する制度で、従業員規模ごとに補助上限額・補助率が変わります(前章の比較表を参照)。事業計画では自社の付加価値額の伸び率などを算出する必要があるため、直近の決算実績が少ない創業直後の事業者は、事業計画の説明により力を入れる必要があります。
中小企業省力化投資補助金の2つの類型
中小企業省力化投資補助金には「カタログ注文型」(あらかじめ登録された汎用製品をカタログから選んで導入する簡易な方式)と「一般型」(個別の現場に合わせたオーダーメイドの設備導入・システム構築)の2類型があります。事業目的は「人手不足に悩む中小企業等に対して、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある設備を導入するための経費の一部を補助する」ことです。一般型の公式サイトは「本事業の申請には『GビズIDプライムアカウント』の取得が必要です。ID取得には一定の期間を要しますので、取得未了の方は、早めにGビズIDプライムアカウント取得手続きを行ってください」と案内しています。創業直後で法人のGビズIDを未取得の場合は、この取得期間も見込んでスケジュールを組む必要があります。
出典:ものづくり補助金「公募要領について」、中小企業省力化投資補助金(一般型)(いずれも2026年9月17日確認)
いずれの制度も、申請書の事業計画書は創業融資の事業計画書・創業計画書と重なる内容(自社の強み、投資の必要性、収益計画)が多く、事業計画書の記事や認定支援機関の記事もあわせてご覧ください。
融資と補助金を併用するときのタイミング管理
融資と補助金では、審査から入金までの流れが大きく異なります。融資は申込みから数週間〜1、2ヶ月程度で実行されることが多いのに対し、補助金は公募開始から採択発表、交付決定、実績報告、入金まで数ヶ月単位の時間がかかります。この構造の違いを理解したうえでスケジュールを組む必要があります。
| 時期 | 融資の流れ | 補助金の流れ |
| 検討・準備期 | 事業計画書の作成、必要に応じて認定支援機関へ相談 | 対象となりそうな補助金の公募スケジュールを確認 |
| 申込・申請期 | 日本政策金融公庫へ融資を申込み | 公募要領を読み、電子申請システム(Jグランツ)で申請 |
| 審査期 | 面談・実地確認・審査 | 審査(採否の決定。補助金は倍率があり不採択もある) |
| 実行・採択 | 融資実行(入金) | 採択発表ののち交付申請、交付決定(ここが補助対象経費の起点) |
| 着手期 | 融資資金で先行費用を支払い | 交付決定日以降に発注・契約・支払い |
| 完了・報告期 | 返済開始 | 補助事業完了後、実績報告書を提出し確認を受ける |
| 入金期 | (融資は実行時に入金済み) | 実績報告の確認が済んでから補助金が振り込まれる |
この表からわかるとおり、補助金は「交付決定」までは経費を確定させられません。融資を「交付決定前の先行費用」と「補助対象外の経費(仕入れ・人件費など運転資金の一部)」に充て、補助金は「交付決定後に発注する対象経費」に充てる、という役割分担が基本の考え方です。
併用時に必ず守るべきルール(公募要領の原文で確認)
融資と補助金を併用するうえで、特に注意すべき2つのルールを、実際の公募要領の原文で確認します。
交付決定前の発注・契約・購入は補助対象外
ものづくり補助金の公募要領(23次締切分)は次のように明記しています。
ものづくり補助金 公募要領(原文)
「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります。」
小規模事業者持続化補助金<創業型>の公募要領も、補助対象経費として認められない経費の一つに次を挙げています。
小規模事業者持続化補助金<創業型> 公募要領(原文)
「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」(※展示会等への出展の申込みについてのみ、交付決定前の申込みでも補助対象となります)
つまり、補助金を見越して先に発注・契約・支払いをしてしまうと、その経費は補助対象から外れます。先行費用は融資や自己資金でまかない、補助金は交付決定後に発注する分に使う、という順序を徹底する必要があります。
同一経費への重複受給は認められない
ものづくり補助金の公募要領は、補助対象外となる事業の一つとして「国庫及び公的制度からの二重受給となる事業」を挙げ、「間接直接を問わず国(独立行政法人等を含む)が目的を指定して支出する過去又は現在の他の補助金、助成金、委託費等と同一の補助対象経費を含む事業」は対象外とし、中小企業庁が所管する補助金(中小企業生産性革命推進事業、中小企業新事業進出促進補助金、中小企業等事業再構築促進補助金、中小企業省力化投資補助金等)については独立行政法人中小企業基盤整備機構及び事務局が重複受給の確認を行うとしています。
小規模事業者持続化補助金<創業型>の公募要領にも「持続化補助金では、同一の補助事業(取組)について、重複して国の他の補助金を受け取ることはできません。他の補助金を受給しているか受給予定の方は、補助金を受け取ることが可能か、必ず、双方の補助金事務局等に、あらかじめご確認ください」と明記されています。
融資と補助金の併用は問題ありませんが、複数の補助金を同じ経費(例:同じ機械装置)に重ねて申請することはできません。設備投資を複数の補助金でカバーしたい場合は、経費の区分を明確に分け、申請前に各事務局へ確認することが必須です。
出典:ものづくり補助金 公募要領(23次締切分)、小規模事業者持続化補助金<創業型>公募要領(第3回受付締切分)(いずれも2026年9月17日確認)
融資と補助金、どちらで何を賄うか|考え方の整理
実際にどの経費を融資で賄い、どの経費を補助金で申請するかは、事業計画・資金繰り・対象となる補助金によって大きく異なるため、一律の正解はありません。ここでは、これまでに確認したルールから導ける一般的な考え方だけを整理します。
| 観点 | 融資に向く経費 | 補助金に向く経費 |
| タイミング | 交付決定前に必要な先行費用全般 | 交付決定後に発注・契約できる経費 |
| 対象経費の範囲 | 補助金の対象経費リストに含まれない費用(仕入れ・在庫、人件費、運転資金など、制度ごとに扱いは異なるため各公募要領で要確認) | 各補助金の公募要領に列挙された対象経費区分(例:小規模事業者持続化補助金<創業型>なら機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費など8区分) |
| 確実性 | 審査に通れば確定(補助金のような採択倍率はない) | 採択・交付決定・実績報告確認という複数の関門があり、不確実性が融資より高い |
補助金はあくまで「見込み」として扱う
補助金は不採択になる可能性があり、採択されても交付決定・実績報告の確認を経て初めて入金されます。資金計画を立てる際は、補助金を確定収入として織り込むのではなく、採択されれば繰り上げ返済や追加投資に回せる「見込み」として位置づけ、融資額はその補助金が無くても事業が回る水準で申請しておくことが実務上のリスク管理になります。
専門家に相談する|認定支援機関の役割と代行費用について
融資と補助金の両方に対応できる専門家として、税理士・中小企業診断士・行政書士などの認定経営革新等支援機関(認定支援機関)が挙げられます。認定支援機関は中小企業庁のウェブサイトで検索でき、事業計画書の作成支援を融資・補助金の両方に活用できる点が特徴です。認定支援機関の法律上の業務範囲、依頼先が実在の有資格者かどうかを確認する方法は創業融資コンサルの記事で詳しく解説しています。
依頼する場合の着手金・成功報酬の相場について、業界団体や官公庁が公表している統計は見当たりませんでした。そのため本記事では具体的な金額を断定しません。報酬の型(着手金型・成功報酬型・月額顧問型)の仕組みと、依頼先を公式の名簿・検索システムで確認する方法は創業融資代行の成功報酬型の記事にまとめています。
依頼先や契約内容によって対応範囲・報酬体系はさまざまです。依頼を検討する場合は、複数の専門家から個別に説明を受けることをおすすめします。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月17日。補助金の公募要領・利率・補助上限額は年度・締切回次ごとに改定されるため、実際の申請にあたっては必ず各公式サイトで最新情報を確認してください。本記事のシミュレーションはモデルケースであり、採択や補助額を保証するものではありません。