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介護事業の創業融資|訪問介護・デイサービス開業資金と日本政策金融公庫【2026年完全ガイド】

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介護事業の創業融資とは|日本政策金融公庫を中心に整理する

この記事の結論

介護事業(訪問介護・デイサービス・グループホーム等)の創業融資を、公庫の公式情報にもとづき解説。新規開業・スタートアップ支援資金の限度額7,200万円・金利・返済期間、介護保険の指定基準、介護報酬の入金サイクル、審査の視点、融資代行の考え方までを整理しました。

介護事業(訪問介護・通所介護(デイサービス)・グループホーム等)は、介護保険法にもとづく指定を受けて運営する公的サービスです。開業には物件・車両・福祉用具などの設備資金に加え、介護報酬の入金が数ヶ月遅れて始まるという業界特有の事情から、運転資金の確保が重要になります。

創業融資の中心となるのは、日本政策金融公庫(以下、公庫)の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。本記事では、公庫の公式サイトと、公庫総合研究所が毎年公表している「新規開業実態調査」の数値だけを根拠に、介護事業の創業融資について整理します。公式資料で確認できない数値は、そのつど「公表資料では確認できません」と明記します。

この記事でわかること

  • 介護事業を含む全業種の開業費用・自己資金の全国平均(公庫「新規開業実態調査」)
  • 介護保険の指定を受ける仕組みと、指定権者が都道府県と市町村で分かれる理由
  • 介護報酬(介護給付費)の入金サイクルと、運転資金を見積もる考え方
  • 公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の融資限度額・金利・返済期間

介護事業の開業費用と自己資金|公庫「新規開業実態調査」の数値

日本政策金融公庫総合研究所は、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施しています。2025年度調査(2025年12月5日公表、融資時点で開業後1年以内の企業を対象に郵送調査、有効回答2,165社)によると、開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。開業時の資金調達額は平均1,219万円で、内訳は「金融機関等からの借り入れ」が平均827万円(構成比67.9%)、「自己資金」が平均279万円(同22.9%)となっています。

資金調達先平均額構成比
自己資金279万円22.9%
金融機関等からの借り入れ827万円67.9%
配偶者・親・兄弟・親戚53万円4.3%
友人・知人等41万円3.4%
その他19万円1.6%
調達額合計1,219万円100%

出典: 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日公表)。上表は全業種の平均値であり、介護事業単体の平均額ではありません。自己資金22.9%・借り入れ67.9%は調査資料に明記された数値、残る3項目の構成比は資金調達額の合計に対して当サイトが算出した参考値です。

開業者に占める「医療・福祉」業種の割合

同調査で開業業種を尋ねた設問では、「サービス業」が27.7%で最も多く、「医療・福祉」が16.7%で2番目に多い業種となっています(介護事業はこの「医療・福祉」に含まれます)。ただし、この調査結果には「医療・福祉」業種単体の開業費用・自己資金額は公表されていません。

サービス種別ごとの費用目安について

訪問介護・通所介護・グループホームなど、サービス種別ごとの開業費用の公式な平均データは、2026年9月時点で確認できませんでした。物件の条件・スタッフ数・地域によって必要資金は大きく変わるため、具体的な金額は事業計画書の作成段階で個別に見積もることをおすすめします。

介護保険の指定申請と融資のタイミング|指定権者はサービス種別で異なる

介護事業でサービス提供の対価(介護報酬)を受け取るには、介護保険法にもとづく指定を受ける必要があります。指定居宅サービス事業者の指定は都道府県知事が行うと介護保険法第70条に定められており、指定の基準(人員・設備・運営に関する基準)は都道府県の条例で定められます(条例の基準は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」=平成11年厚生省令第37号を参酌して定められます)。

一方、地域密着型サービスと居宅介護支援(ケアマネジャーが所属する事業所)の指定・監督は市町村が行います。厚生労働省「介護保険制度の概要」では、サービスの種類ごとに指定・監督の主体が次のように整理されています。

指定・監督を行う主体代表的なサービス
都道府県・指定都市・中核市訪問介護、通所介護(デイサービス)、訪問看護、短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護 等(居宅サービス・施設サービス)
市町村定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、居宅介護支援(ケアマネ事業所) 等(地域密着型サービス)

指定を受けるには法人であることが前提になりやすい

介護保険法第70条第2項は、申請者が「都道府県の条例で定める者」でないときは指定をしてはならないと定めており、この条例による要件の中で、多くの都道府県が申請者に法人格を求めています。個人事業主のまま指定を受けられるかどうかはサービス種別と自治体の条例・運用によって扱いが異なるため、開業予定のサービス種別を管轄する都道府県・市町村の介護保険担当課に個別に確認してください。

融資と指定申請の順序

公庫の創業融資は、指定申請中または申請予定の段階でも申し込めます。ただし審査では事業計画の実現可能性が問われるため、指定申請の進捗(申請書類の提出状況や自治体とのやり取り)を事業計画書に具体的に記載しておくと、計画の裏付けとして示しやすくなります。指定申請から指定取得までにかかる期間は自治体により異なり、一律の基準は公表されていないため、事前に管轄窓口へ確認することが必要です。

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介護報酬(介護給付費)の入金サイクルと運転資金の考え方

介護事業の収入である介護報酬(介護給付費)は、サービスを提供した月にすぐ入金されるわけではありません。事業者は毎月、提供した介護サービスの実績を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求し、審査を経たうえで支払いを受ける仕組みになっています。

東京都国民健康保険団体連合会が公表している令和8年度の支払スケジュールでは、請求月の翌月下旬(原則23日前後)に支払いが行われるとされています。

請求月支払日
令和8年4月令和8年5月25日(月)
令和8年7月令和8年8月24日(月)
令和8年10月令和8年11月24日(火)
令和9年1月令和9年2月24日(水)

出典: 東京都国民健康保険団体連合会「令和8年度介護給付費等の支払日について」。掲載しているのは全12回のうち4回分の抜粋です。支払スケジュールは国保連ごとに公表されており、都道府県によって具体的な日付は異なる場合があります。

この仕組み上、サービス提供月から実際の入金までにはおおむね2ヶ月前後のタイムラグが生じます。開業直後は前月・前々月分の実績がまだないため、その期間の人件費・家賃などの固定費を自己資金または融資で用意しておく必要があります。運転資金の必要額は、次の考え方で見積もるのが基本です。

運転資金の考え方(計算式)

必要な運転資金の目安 = (人件費+家賃+その他固定費の月額)×(入金が始まるまでの月数+安全のための余裕月数)

月額の固定費は事業所の規模・人員体制によって大きく異なるため、具体的な金額は事業計画書の作成時に自分の事業所の条件で計算してください。

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の内容

介護事業を含む幅広い業種の創業資金として、公庫(国民生活事業)は「新規開業・スタートアップ支援資金」を用意しています。制度の概要は次のとおりです(2026年9月16日時点で公式サイトに掲載されている内容)。

項目内容
対象者新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
資金使途新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金・運転資金
融資限度額7,200万円
返済期間(設備資金)20年以内(うち据置期間5年以内)
返済期間(運転資金)10年以内(うち据置期間5年以内)
担保・保証人希望を伺いながら相談(公式サイトの表記)

利率(令和8年9月1日現在)

利率は税務申告の実績や、該当する要件によって「基準利率」と複数区分の「特別利率」に分かれます。新規開業の場合に該当することが多い「税務申告を2期終えていない方」向けの利率は次のとおりです。

利率名称年利(%)
基準利率3.75〜5.35
特別利率A3.35〜4.95
特別利率B3.10〜4.70
特別利率C2.85〜4.45

出典: 日本政策金融公庫「金利情報 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】」(令和8年9月1日現在)。利率は金融情勢により変動します。特別利率Aは女性の方・35歳未満または55歳以上の方・認定特定創業支援等事業の証明書を取得した方・中小会計を適用し認定経営革新等支援機関の指導および助言を受けている方など、特別利率Bはこれらのうち複数の要件を満たす方(例: 証明書取得者でかつ女性の方)などが対象です(適用条件の詳細は公式サイトで確認してください)。

融資審査で見られる視点|介護事業ならではの準備

公庫の審査基準そのものは公表されていませんが、公式サイトが示す制度趣旨(適正な事業計画を策定し、それを遂行する能力が十分あると認められる方が対象)と、介護事業の制度的な特徴を踏まえると、事業計画書では次のような点を具体的に説明できるようにしておくことが重要です。

事業計画書で示しておきたい項目

  • 介護分野での実務経験や保有資格(介護福祉士・ケアマネジャー等)
  • 指定申請の進捗状況(申請書類・自治体とのやり取りの記録)
  • 介護報酬の入金サイクルを反映した月次の資金繰り計画(前章の運転資金の考え方を使う)
  • 人員基準を満たすための採用・配置計画
  • 利用者確保の見込み(ケアマネジャーや医療機関との連携等、具体的な根拠)

これらは公庫が公式に「審査基準」として数値で明示しているものではなく、制度趣旨と介護事業の制度的な特徴から導かれる一般的な準備事項です。個別の審査結果は事業内容や地域の状況によって異なります。

創業融資代行・専門家に依頼する場合の費用の考え方

税理士・行政書士・中小企業診断士・認定経営革新等支援機関などの専門家に、事業計画書の作成や融資申請のサポートを依頼することもできます。報酬は依頼先や業務範囲によって個別に決まり、統一された公的な料金基準は存在しません。

費用は「目安」であり確定額ではありません

着手金と成功報酬(融資額の数%)を組み合わせる事務所が多いといわれていますが、これは当サイトが把握している業界の一般的な傾向であり、公的な統計にもとづく数値ではありません。正式な見積もりは、依頼を検討している専門家に個別に確認してください。

介護事業の場合、指定申請(行政書士が扱うことが多い業務です)と、創業融資の事業計画作成(税理士・中小企業診断士等が扱うことが多い業務です)は別の専門分野であるため、両方を依頼する場合は役割分担と費用の内訳を確認しておくと安心です。融資代行費用の相場や依頼先ごとの違いは「創業融資代行の費用相場」で詳しく解説しています。

なお、国が認定する公的な支援者として「認定経営革新等支援機関」という制度があります。中小企業庁が認定・公表しており、税理士・金融機関・商工会議所などが認定を受けています。詳細は中小企業庁の認定支援機関のページで確認できます。

介護事業が使える主な資金調達手段の比較

介護事業の開業資金は、公庫以外にも複数の選択肢があります。それぞれ運営主体や特徴が異なるため、制度の性質を理解したうえで組み合わせを検討します。

制度運営主体特徴
新規開業・スタートアップ支援資金日本政策金融公庫新たに事業を始める方向けの融資制度。前章の限度額・利率が適用されます
信用保証協会の保証付融資・制度融資都道府県等の信用保証協会+民間金融機関信用保証協会が保証し、民間金融機関が融資する仕組み。保証料率・限度額は都道府県・制度ごとに異なります
福祉貸付事業独立行政法人福祉医療機構(WAM)病院・介護施設等の福祉医療関連施設の整備を対象とする長期融資を扱う機関です

信用保証協会の保証料率・融資限度額は都道府県ごとに個別に定められており、全国一律の基準はありません。詳しくは「信用保証協会の創業融資とは?」を参照してください。福祉医療機構(WAM)は主に医療法人・社会福祉法人等による施設整備を対象とする機関であり、制度の対象・条件は公庫とは異なります。利用を検討する場合は、WAMの公式サイトまたは開業予定地域の窓口で直接確認してください。

介護事業の創業でよくあるケース|個人事業と法人、つまずきやすいポイント

以前の記事では、具体的な地名・金額を挙げた「成功事例」を紹介していましたが、公表資料で裏付けが取れる内容ではなかったため、本記事では削除し、一般的な傾向として整理し直しました。

個人事業と法人、どちらで始めるか

訪問介護・居宅介護支援(ケアマネ事業所)は、都道府県・市町村の運用によっては個人事業主のままで指定を受けられる場合があります。一方、通所介護(デイサービス)やグループホームのように施設を伴うサービスは、法人格を求められることが一般的です(前述のとおり、具体的な要件は都道府県の条例で定められます)。どちらの形態で開業するかは、事業計画の段階で管轄自治体に確認しておく必要があります。

開業後につまずきやすいポイント

  • 介護報酬の入金サイクル(前述)を資金繰り計画に反映しておらず、開業直後に資金がショートする
  • 指定申請の必要書類・手続き期間を把握しておらず、開業予定日に指定が間に合わない
  • 法定の人員基準(サービス提供責任者・管理者等の配置)を満たすスタッフの採用が計画どおりに進まない
  • ケアマネジャーや地域包括支援センターとの関係構築を開業前に行っておらず、利用者紹介につながらない
  • 介護記録ソフト・請求ソフトなど、運営に必要なシステムの月額費用を運転資金の見積もりに含めていない

これらは介護事業の制度的な特徴(指定制・介護報酬の後払い・人員基準)から一般的に指摘される注意点であり、特定の統計調査にもとづく順位付けではありません。

介護事業の創業融資について専門家に相談する

介護事業の創業融資は、指定申請のスケジュールと介護報酬の入金サイクルを踏まえた資金計画が欠かせません。事業計画書の作成や融資の進め方について不安がある場合は、専門家に相談することもひとつの方法です。

相談・診断は無料です。融資の実行や指定申請の採択を保証するものではありません。

出典・参考情報

最終更新日: 2026年9月16日。金額・利率・制度内容は変更される場合があります。融資のご検討にあたっては、必ず各公式サイト・窓口で最新情報を確認してください。本記事は融資の採択や条件を保証するものではありません。

よくある質問(FAQ)

Aはい、申請は可能です。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は「事業を始める方」を対象としており、指定申請中または申請予定の段階でも申し込めます。事業計画書に指定申請の進捗状況を具体的に記載しておくと、計画の実現可能性を示す材料になります。
A入金サイクルそのものが不利に働くわけではありません。介護報酬はサービス提供月からおおむね2ヶ月前後遅れて入金される仕組みのため、この期間の固定費をどう賄うかを事業計画・資金繰り計画に具体的に反映しておくことが重要です。
Aサービス種別ごとの開業費用について、公式に公表された全国平均のデータは2026年9月時点で確認できませんでした。参考として、公庫「2025年度新規開業実態調査」では全業種平均の開業費用は975万円(中央値600万円)です。実際の金額は物件条件・人員体制によって大きく変わるため、事業計画書の作成段階で個別に見積もることをおすすめします。
Aサービス種別ごとの人員基準は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)などの基準省令、および開業予定の都道府県・市町村が定める条例で確認できます。具体的な配置人数はサービス種別・自治体により異なるため、管轄の介護保険担当課への確認が必要です。
A公庫が資格の評価基準を数値化して公式に公表しているわけではありませんが、介護業界での実務経験や保有資格は、事業計画の実現可能性を裏付ける材料として事業計画書に記載する価値があります。
A両者は対象・仕組みが異なる別の機関です。公庫は新たに事業を始める方向けの創業融資を幅広く扱っており、WAMは主に医療法人・社会福祉法人等による施設整備を対象とする福祉貸付事業を扱っています。どちらが適しているかは事業の規模・形態によって異なるため、それぞれの公式窓口に個別に確認してください。
Aサービス種別と自治体の条例・運用によって扱いが異なります。訪問介護・居宅介護支援では個人事業主のまま指定を受けられる場合がありますが、通所介護やグループホームなど施設を伴うサービスは法人格を求められることが一般的です。開業予定のサービス種別を管轄する自治体に個別に確認してください。
A公的な料金統計は存在せず、依頼先や業務範囲によって個別に決まります。着手金と成功報酬を組み合わせる事務所が多いといわれていますが、これは業界の一般的な傾向であり確定額ではありません。正式な見積もりは依頼を検討している専門家に直接確認してください。詳しくは「創業融資代行の費用相場」のページも参考にしてください。
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本記事の監修

齊木祐介(株式会社ASI 代表取締役)

AI・ロボティクスの導入支援、補助金・助成金の活用支援、専門メディアの運営など複数事業を統括。実務で得た知見をもとに、本サイトの情報を監修しています(運営:株式会社ASI)。

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